ぼくのたからもの

「ゲームもオモチャもいらない、一眼レフが欲しい」
7歳の誕生日。
神野天杜(じんのたかと)君は生まれて初めて両親におねだりをし
「誕生日プレゼント3年分」の約束で一眼レフカメラを買ってもらった。
以来、週末になると、「こどもカメラマン」の姿があちこちで見られるようになった。
フォトコンテストのジュニア部門でグランプリを受賞するほどの腕前は大人たちを驚かせた。
9歳の秋、天杜君は血液の病気で体調を崩して入院。
翌年の2月、息を引き取る2日前、両親はこん睡状態の息子に「写真集を絶対に出すからね」と誓う。
撮り続けた8千点の写真の中から両親は64点を選んだ。
これから花開くはずだった才能を強く感じさせるこれらの写真は、撮る喜びに満ちあふれ、見る者を笑顔にしてくれる。

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